僕らは、北アルプス、中央アルプス、南アルプスなどと普通に使うが、思い返してみると学校でそんな名前を教えてもらった記憶はない。教わったのは、飛騨山脈、木曽山脈、赤石山脈という名である。この中で唯一ピークの名が山脈全体の名称として使われている赤石岳。それに恥じないスケールの大きな山である。
北から南に縦走する場合、荒川小屋が赤石岳への長い登りの起点となる。この小屋の前のテント場で浩宮様(当時―現皇太子)御一行と一緒になってしまった。翌日、赤石岳までのコースは私も同じ。ノンビリとした宮様行列に付き合うような趣味もないので、早く出発してしまったが、後で彼らと一緒に登った登山者によれば、山頂では記念撮影大会になっていたらしい。