塩見岳は、私のフィールドの富士山麓からよく望見される。「超展望の山々」にも書かれているように、羽田空港から見えるという報告もされているほど、遠くから望むことができる山である。しかしながらその山頂への道のりはあまりにも遠い。仙丈岳と塩見岳を結ぶ仙塩尾根は「バカ尾根」といわれるほどに長大である。もちろん伊那側から三伏峠に上がるのなら、それほど遠いともいえないのだが、伊那からというのが気分的に遠いのだ。
この山の頂きに立ったのはただの一度だけ。北岳から間ノ岳、北荒川岳を経てこの山までやってきた。北俣岳と天狗岩を両翼に従え、特徴のある半円型の山頂を稜線から持ち上げたその姿は威風堂々、南アルプスの北部と南部を境を守る衛兵のようであった。