もし深田久弥の「日本百名山」に「雨飾山」の名が無ければどうであったか。
百名山に取り上げられている淙々たる山々のなかで、この山に対して少しばかり違和感を感じるのは私だけではあるまい。標高は2000mに満たない。東側の個性溢れる北信五岳と西側の北アルプスの間にあって、いかにも地味で、しかも地域や山域を代表する山でもない。たとえ深田氏がこの山が忘れたとしても誰からも文句は出なかったであろう。
しかしながら、とにかく今はこの山の人気は高い。雪解けの頃の山麓、初夏の新緑眩しい登山道、そしてこの雨飾山をもっとも有名にしている秋、見事というしかない錦繍のブナ林。ここは奥深い山の空気にどっぷりと浸りたくなるそんな山域である。もちろん温泉にも。