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櫛形山

1999.6.12
  櫛形山はアヤメの山として人気がある。山頂にアヤメの群生地があるのだ。アヤメの咲く7月には沢山の登山者や観光客で大にぎわい。逆にその他の季節の登山者は少なく静かな山旅を楽しめるよい山となる。頂上付近には雰囲気の良い原生林があって、林の中そして草原にも高山植物が豊富な花の山である。


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櫛形山と本日のルート
 国土地理院刊行数値地図50mメッシュ(標高)を使用し数値地図ビューアで描画


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夜明け前の富士

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紅の雲海

朝の富士山

 櫛形山の山腹を走る 櫛形林道丸山林道は富士山の好撮影地として人気がある。ちょうどこの時期は 雲海がよく出るので狙い目なのだ。

 夜明け前、丸山林道を上る。櫛形林道との分岐の先で通行止めとなってゲートがしっかりしまっている。しょうがないから櫛形林道へ。いつもなら大抵一台か二台は先客の車がいるのだが今日は0。櫛形林道にとっては今はシーズンオフなのかもしれないなあとも思う。富士山を専門に撮るカメラマンはなぜか富士山の山体近くから太陽が昇るというのが大好きである。なかでも山頂から登るのを ダイヤモンド富士だとか ダイヤモンドヘッドなどといって有難がるのだ。この地は冬は太陽が富士に近づくが、今は太陽が最も富士山から離れる時期なのである。

 太陽が昇る前に一台の車があがってきた。そのカメラマンとは話をしなかったが、一見したところ櫛形林道に慣れたベテランでなさそうである。ということは結局今日は富士山狂いのカメラマンは一名も来なかったということになる。カメラマンが少ないのは太陽の位置が悪いというほかに、きっともう一つ理由がある。それは櫛形山の北にある 甘利山がレンゲツツジの花期を迎えているということだ。朝早くこの辺りに到着できるカメラマンはやはりその期待の持てる甘利山に向かったのではないだろうか。

 富士山写真愛好家が富士山を撮影するポイントは大抵決まっている。冬は比較的撮影地は分散するが、無雪期は花などを前景にするのが好まれるので花期さえ知っていれば大抵その行動パターンが読めるのだ。もちろんこれは登山者も同じで最初に書いたこの山のアヤメが典型的な例である。だから 静かな撮影、静かな山旅を楽しむにはその時期を外せばよい。 ガイドブックの追体験でなく、紹介されることの少ないその山の意外な一面を見ることができるかもしれない。


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雲上の御坂山地―堂々たる姿である


正しい登山

 いつもは丸山林道をさらに上って池の茶屋林道に入り、頂上直下の林道終点まで車を入れるのだけど今日は通行止めなので別の登山口から登ることにした。朝の富士山を撮影した場所から少し北に移動したところに 南尾根登山道の入り口がある。入り口というのは適当ではないかもしれない。この登山道は増穂町平林を基点とする 正しい登山道でそれを櫛形林道が横切る形となって結果としてここに登山道の入り口が開いているというのが正解だろう。
「正しい」と書いたのは定義はないけれど、そこそこ下からしっかり登る道ということで、山を登る人ならなんとなくわかってもらえると思う。逆に林道で目一杯上まで入ってさささっと山頂まで往復してしまうコースはは インチキ登山道である。僕の登山はほぼ100%この手のインチキコースだ。 正しい登山道は自家用車を利用せず公共交通機関で登りに来る 正しい登山者によって登られることが多い。自然を破壊するばかりの林道を使わず、また自家用車でガソリンを無駄に使い、さらに窒素酸化物や二酸化炭素を無駄に放出することのない 正しい登山者には本当に頭が下がる。さらに山麓の旅館や民宿に泊まったりすることも多くなるので地元の人たちの為にもなるのだ。さっと行ってさっと帰って来る僕らなんかは全く地元に貢献できていない。こんなことを考えているとどうも自己嫌悪に陥るのでこの程度にしておく。
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アマドコロ
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シロバナヘビイチゴ


  行程
  櫛形林道南尾根登山道入口5:30― 6:45裸山山頂

櫛形山へ

 櫛形山は櫛の背に例えられる南北に長い山頂をもち、そこには名前のついたピークが3つある。北から 唐松岳(1856.0m)、裸山(2002.6m)、奥仙重(2051.7m)で、もっとも高い奥仙重が櫛形山頂とされる。アヤメの群落があるのは裸山の周辺と、裸山の少し北のアヤメ平だ。中尾根登山道はテント場のある祠頭で中尾根登山道と合流して裸山と奥仙重の間の稜線にでる。今日は裸山だけを往復するだけにした。

 もちろんアヤメはまだだが、既に花はたくさん咲いている。中尾根の途中では ラショウモンカズラズダヤクジュが目についた。稜線の登山道脇には シロバナヘビイチゴの白い花がびっしりと咲き、もちろん スミレキンポウゲ、場所によっては ワチガイソウアマドコロの姿もあって、花の山の片鱗をみせていた。

 裸山で1組、下山途中で3組ほどの登山者とすれ違った。そのうち下山途中で出合った二組から 「アヤメはまだですか・・・」と聞かれた。いくら今年は早いと言っても・・・いやはや気の早い人たちである。でも彼らもその他の可憐な花達の出迎えに十分満足したのではないかと思う。


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