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御坂山地黒岳

1999.5.22
 新緑の季節、日を追う毎に山の色が変わっていくのがわかる。冬枯れの茶系統の地味な色が緑に変わっていく。そんなのを麓から眺めながら、あの山道、あの稜線は新緑が綺麗だろうな、歩いたら楽しいだろうなあ、と思いを巡らせる。

御坂山地

 富士山の北、河口湖や西湖の背後に連なる御坂山地。厳冬期にはもちろん富士山の好展望地になるこの山域の山々は、この時期に歩きたくなる山の代表でもある。富士山の展望地としてあまりにも有名な三つ峠山もこの山域の東の一角。太宰治で有名な御坂峠は三つ峠の西側の鞍部を越す峠だ。
 大抵の登山口から稜線までは1時間から1時間半くらい。あとは好きなだけ歩い て適当なところから下れば良い。御坂山地はそんな感じの山域である。

新道峠

 御坂山地の主峰「黒岳」の西側に新道峠という名の峠がある。ここは北側の芦川村から林道が伸びており、なんと稜線まで徒歩2分程度のところまで車で行けてしまう。峠からの展望は極上で、軟弱派のカメラマンにとってはうってつけのポイントになっている。今日は新緑を求めて僕はこの峠にやってきた。

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3D地図上GPSで記録したルートを標示させたもの。
100m程度の誤差が出るのでときどき稜線から落ちてしまうのが御愛嬌。
 国土地理院刊行数値地図50mメッシュ(標高)を使用
 数値地図ビューア(Mac)で描画
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新道峠からの富士山



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新道峠の新緑

GPS

 今回は新しいツールを持ってきた。それはGPS。カーナビと同じ原理のあれである。GARMIN社のGPS12という型で、旧型で安かったので手に入れたのだ。しかし、こんなものは持っていてもほとんどなんの役にも立たない。モニターに歩いた線が書かれていくぞー (左上の図中の赤いラインがその線を3D地図上に写したものである)というだけである。こんなところで迷うわけもないから、自分の位置を知る必要も特にないのだ。まっ・・・まあいいじゃん。 ただ、目的地まであと何kmという表示が出せるのは気分的に役に立つかもなあ。

 少し前に林道の終点についたとみえ、僕がそこについたときにはごそごそ準備を始めていた、大きなザックを担いだカメラマンと言葉を交わしながらひと登り (もしないうちに峠についちゃうのだが)。彼は峠につくなり中判カメラ (普通アマチュアが使うカメラより大きなサイズのフイルムを使うカメラで、より奇麗な写真を撮ることができる。富士山を撮るカメラマンはアマチュアでもその手のカメラを常用する人がとても多い)をセットした。聞けば僕の住む富士宮市の隣の富士川町の人であった。富士山を撮り始めたのはそれほど昔からでは無いようだが、カメラは沢山持っているらしい。なかなか本格的な装備である

 僕は富士山は霞んでしまって撮ってもしょうがないやと思ったので、富士山とはまるで違う方向を向いて新緑を撮っていた。そしたら件のカメラマンに、「富士山よりも樹のほうのカメラマンですか」といわれてしまった。でもさあ、富士山よりもこっちのほうが綺麗だとは思いませんか? ねえ、どっちがキレイと思う? (左の写真)

 僕は冬には富士山の写真が五割以上を占めるかもしれないけど、五月から十月くらいまでは富士山の写真は五厘にも満たない。

黒岳

 僕はとりあえず黒岳方面に向かって歩き始めた。黒岳はこれまでに御坂峠からと芦川村からとの二方向から登っているけれど、この道は初めてだ。歩き始めの地点がすでに稜線上だから長い登りはなくアップダウンが少々あるだけの楽な道。

 山の初心者をハイキングに連れてきていたおとっつぁん曰く、黒岳から大石峠にかけての御坂の稜線は富士山写真家のメッカであるということらしい。見ると、ところどころに三脚を立てるのに都合の良いスペース(裸地)がある。三脚を立てるのに・・・などと表現するのは僕が写真を撮る人だからで・・・要するに弁当を食うんのにももちろんグッドなスペースである。写真家御用達の場所だから眺めは保証付き。

初夏の花

  さて、僕はといえばあいかわらず富士山におしりを向けて這いつくばっていた。這いつくばっていたのは登山道脇にスミレ各種 (無学な僕には区別できない)、エンレイソウ、シロバナヘビイチゴ、チゴユリ、クルマバツクバネソウ、ルイヨウボタンなどが咲き競っていたからだ。

 そんなことをやっていたので、黒岳まではずいぶんかかった。このピークを目的にして登ってくる人だけでなく、稜線を縦走する人にとってもここは一つの目標点になっている。

 山頂は樹林に覆われ展望が無い (広くてお弁当には適)が、ほんの少し富士側に歩くと展望スポットがある。山頂よりもスペース的には狭いのだけれど、むしろこちらの方が山頂より人は多い。みんな座って景色を眺めたり、お弁当を食べて一息ついたりと思い思いにくつろいでいる。 這いつくばっていた僕を追い抜いていった、新道峠で一緒だったカメラマンはすでにお弁当タイムに突入していて、「ようやくつきましたかぁ」などと声をかけられる。で、雑談モード。「あの山は赤石 (赤石岳=赤石山脈の名の元になっている南アルプスのほぼ中央にある大きな山)ですかぁ」などと聞くところをみると、あちらのほうの山にも登る人なのかもしれない。

 富士山はうっすらと浮かんでいるだけで写真を撮るほどでもないので、僕は早々に引き上げることにした。で、引き返し始めた道端のハルリンドウを撮ろうと思ってまたかがむ。まったく今日はかがんでばかりだ。

 新道峠の登り口の近くにスズランの里と呼ばれる場所がある。名前の通りスズランの群生地で5月末から6月にかけて花が咲く。まだ満開という状態には少し早かったけれど、それでも白い清楚な花を風に揺らせていた。
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スズラン


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