| 八本歯のコルに到着。ナナカマドの実が赤い。ここから大樺沢へは急勾配で下っていく。行き会った僕と同じ日帰りの単独行の方は、この道は初めてだということでこの急な下りに閉口していた。ちょっとガレていて歩きにくくもある。登りだと確かにこの辺でバテバテになる。登りでいうと大樺沢のコースは最初緩やかであとが急、御池のコースは最初、中盤が急であとが緩やか。僕は最近後者を選んでいる。今日は紅葉という目的もあったわけだけど。すでに午後3時を回っているのにまだこの道を上がる登山者がいる。山荘に食事付きで宿泊される方は5時までに到着して下さいとの看板が立っていたが大丈夫なのだろうか。他人事ながら心配になる。電話連絡でもしてあるのだろうか。ちゃっかり二股にテントを張ってしまっている衆もいた。
大樺沢も二股の少し上辺りからはなかなか風情のある紅葉(ほとんどは黄葉)をみせてくれていた。ただしナナカマドはだめだ。もう絶対奇麗な赤色にはなりませんといった顔をしている。山頂にかかる雲は厚くなってバットレスの蒼い岸壁も半分くらいしか見えていない。もうこの辺りまでは陽も差し込まず写真撮影には不向きな状態でISO100のフイルムでF5.6で1/15〜1/30程度である。
沢はここのところの長雨で増水していて、ものすごい轟音を響かせている。ほんとうはそれも撮りたい。きっと迫力のある映像が撮れるはずだ。しかしそれにはかなりの時間を要する。1〜2時間のロスは必至だ。そんなことをしていたら広河原に着く前に夜になってしまう。だから泣く泣くそれは諦めて下山を急ぐ。スピードを上げるため三脚はザックに付けてしまった。やはり北岳山荘で一泊して明日この大樺沢を思いきり撮ればよかったと今になって思う。でもそのためにはフイルムを少なくともあと4〜5本は持ってこなければならなかった。いまF-1の中に装填してあるのが今日の手持ちのラストのフイルムなのだ。
もう道は緩やかである。増水で登山道が冠水している部分はあるものの歩行にはそれほど支障はない。ただちょっと沢と登山道の区別がつきにくく迷うくらいだ。それにしても今日のこの大樺沢の流れは良い。こんど大雨の後、この流れだけを狙って撮りにきてみるか、と思った。
御池コースとの分岐を通過。もう5時をまわり暗くなってきている。駐車場に停めた車まで戻ったときにはもう5時半に近かった。
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