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富士登山withピカチュウ

 9月5日、久々の富士山登山。一昨年の7月以来、富士登山とは 御無沙汰。実は今年8月初めに新五合目の駐車場までいった のだけれど、あまりの混雑にそのまま引き返してきてしまったのである。 もう閉山式も終わり、あの喧騒も去ったに違いないと思って登る気になったのだ。

 今日の天気は晴れと読んだ。月も明るい。夜行登山にはぴっ たりだ。けれども、富士宮登山道の山小屋は新六合の二つの小屋を 除いてすでに閉められている。この時期にはどれくらいの登山者が 訪れるものなのだろうか。

 僕は、富士山頂でご来光を見たいなんていう気持ちがあまりない人なの だけど、どうせならできるだけ上の方で日の出は迎えたい。 そして運が良ければ影富士もと考えて、富士宮市の自宅を9/5の 午前1時半過ぎに出た。雲が少し広がっている。富士山は確 認できず。コンビニで食料などを仕入れ富士山スカイラインに 入る。ふと前方上を見ると、月明かりに浮かび上がるスカイ ライン、いつの間にか真っ黒な富士が目の前にあった。東の空 にはオリオン。天気の読みはばっちり。五合目の駐車場 に着いたのは2時半頃。すでに一番上の駐車場はほぼ満車の状態だった。小屋は営業していないのだから、ほとんどが夜半から登り始 めた人達なのだろう。閉山後といっても、これだけの登山者がい るということだ。

 いつも登山は単独なのだが今日は相棒を連れてきた。それはピカチュウ。説明すると長くなるのでやめておくが、これは任天堂からでているポケットピカチュウという万歩計とたまごっちを合わせたようなもの。私が買ったわけではないのだが、 なぜか腰に・・・

 2時45分月明かりの中、足下をヘッドライトで照らして登り始 めた。少し登ると駿河湾側の展望が開ける。下界と山の世界 を分ける薄い雲。月がその薄いベールを照らし出して、怪しく幻想 的な世界を演出する。そしてその薄いベールを通して下界の 明かりがほのかに透けて見える。ピカチュウのやつはまだ寝 ている。どうせ7時過ぎないと起きやしないだろう。

 睡眠不足のためか、それとも急に歩きだしたためかひどい頭痛が襲う。 しかしそれ以外は快調で、そのうちに頭痛も退いてしまった。 月は西の山並みに落ちる前にすでに雲に隠れ、星の数がいつの 間にか増えている。3時半頃には天の川が確認できるほどの暗さ になった。

 暗いといっても月明かりは残っていて完全な暗やみではないのと、 前の登山者のライトの明かりも見えるので、コースを大きく外す 心配はない。けれども足下の見える範囲が限られているので。 昼間なら無意識のうちにしている、10m前くらいまでの道の様子 をみて、歩きやすいコースを選んで次に足を置く位置を決める ということができない。足下のすぐ近くの様子だけからの判断で 進む方向を決めるので、いつのまにか岩ゴロゴロの歩きにくいと ころに突入してしまうということが、何回かあった。 また、石にペンキで矢印が書いてあるのはいいのだが、 その印がロープの外側にあることが多く、それにだまされてコース アウトし、ロープを跨いで戻るということも何回かあった。 (ロープはずっとあるわけでなくたまに登場するのでこういうこと が起こる。)

8090502.jpg  富士登山ではたいていの人が次の山小屋を視線にいれて、それを 目標に歩くのではないだろうか。しかしすでに七合目から上の小屋は全て今 年の営業を終了しているため明かりはなく、その存在は近づかなけ ればわからず目標にならない。しかも看板が取り外されているの で、初めての方は小屋に着いても、これが何処なのかわからないだろう。 私も一目みただけでは何処の小屋なのかわからなかった。 それに地図を車に忘れてくるというていたらく。そして手袋 も・・・ 必須アイテムを二つも忘れて恥ずかしい限りだ(^^;

 元祖七合目に4時15分に到着。ピカチュウの万歩計のカウント は「5731」ここが富士宮登山道〔新五合目―浅間大社奥社)のほ ぼ中間地点で、また、標高3000mを越える地点でもある。ここで 10分程休憩。ジャケットを厚手のものに交換。冷え込み は相当厳しく、休んでいるとどんどん寒くなってくる。東の空が 徐々に明るくなってきた。ヘッドライトはもうお役御免である。

 雲が真っ赤に染まりだした。5時15分、九合目に到着。 三脚を立て、色づく雲の様子を広角、望遠で撮っていく。 東の水平線に一際明るい黄金に輝いている部分から、きっと太陽が 昇るでしょう。そう思っているとその輝きの下から、日本画に描かれるような 赤い太陽が昇ってきました。
 撮影を終えると突如猛烈な睡魔が襲ってきた。もう歩きながら 寝て倒れてしまいそうになるほどだ。もう足も動かない・・眠い。 風を避けられる岩陰に倒れ込み仮眠・・・しかし寒かった。

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 結局山頂の一角、浅間大社奥社に着いたのが6時45分。仮眠を入れ て新五合目駐車場から4時間だった。ということは、この時期なら 午前1時前に登りだせば、山頂でのご来光を見ることが出来るということだ。 次回はそうするつもりである。

8090501.jpg  富士山の最高地点は気象庁測候所の立つ剣ケ峰はここ奥社からすぐだ。 役目を果たし来年には取り壊されるという測候所を間近に みるのはこれが最後になるかもしれないので、じっくり眺めてきた。 この建物は富士宮市にある私の自宅からでも肉眼で見ること が出来る。日本一の山のてっぺんにこんな不細工な建造物を建て るなんて、という意見もあるが、慣れ親しんだものが消え 去るのはやはり寂しい思いがする。丁度、同じ時間に山頂にいら した御夫婦、その御主人は、この気象レーダーの建設に携わられたと いうことで、最後のお別れにと二十数年ぶりの富士登山で ここまで来られたそうだ。私と同じ富士宮市から来られた方 も、測候所が最後ということでぜひ今年中に来たかったと話されていた。 ここを舞台にした小説や沢山のTVドキュメントも思い出される。 一つの歴史が幕を閉じるのだ。

 さて山頂からの展望は・・・富士山しか見えない・・・(^^;。 上部は快晴なのだが、水平線近くは雲ばかりでまわりの山は見え ない。唯一南アルプスの一部だけが雲の上に顔を出している。
 ピカチューのカウンタは「11279」
「おい、そろそろ起きろよ、日本最高地点なんだぞ、お前二度とこれるかどうかわかんないよ。」
「ガシガシ」
「起きたと思ったら、いきなり歯磨きかよ」 「パクパク」
「あのね〜 おせっかいかもしんないけど歯磨きはパン食ってからのほうがいいと思うぞ」

 お鉢巡り外院コースは荒れていて、五合目には通行禁止と出てい た。ただ現地には通行止めの表記はない。私はチャレン ジしなかったが、私が山頂にいる間、二組がそちらに向かい、 結局二組とも「こえー」といって引き返してきたので、 かなりひどい状態なのだと思う。剣ケ峰と白山岳を通らない 内院コースについては全く問題はない。

 8時半頃から下り始めた。続々と登ってくる登山者の列。道を譲ったり 写真を撮ったりのんびり下る。九合五勺のところで、ピカチュー に御苦労さんのプレゼントをあげた。お礼の手紙をよこしたが なんだかよくわからない。
「なんだか一回り大きくなったなお前。 愛想も良くなったし。」
「あくびをするなあくびを・・俺だって眠いんだからな。」

 自転車野郎とも10人ほどすれ違った。そして、なんとスーツにネクタイの人も・・・? 靴はスニーカーだったけれど、どうせそこまでやるなら、ぜひとも革靴で、アタッシュケースも持って登って欲しかった。

 七合目あたりでは、オンタデが黄色く色づいていてとても奇麗だった。 これは三脚を立てて撮らないと。
「おいピカチュウよ、おまえは積み木か・・・」

 新六合の雲海荘の前でもプレゼントをやったらこんどは飛び上が って喜んだ。
 11時過ぎに新五合目駐車場着。
「富士登山どーだった?」
「・・・・」
「こんどは砂遊びかい・・・なんだ富士山作ってるのか・・・」
最終カウントは「25003」だった。

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