2003年秋・富士山
落葉松染まる森林限界を行く

富士山御殿庭周遊

2003.11.2
御殿場口新五合目〜双子山〜御殿庭〜幕岩〜御殿場口新五合目


御殿場口新五合目

 早めに自宅を立って、夜明け前に御殿場口新五合に到着した。見上げればまだ満天の星。しかし丹沢・箱根方面の空の色はすでに夜明けが間近いことを告げている。

 身支度を整え、フィールドカメラ(シノゴ)まで突っ込んである大きめのザックを背負って双子山(二ツ塚)方面へ向けて出発だ。

 御殿場口新五合は1440mと他の登山口の新五合目と比べて低く、もともと二合目と呼ばれていた地点にある。双子山(二ツ塚)の東側の山の標高は1804mで、まずは360m程の登山になる。

 御殿場口登山道を道なりに上っていく。直接双子山方面に向かう近道もあるのだが富士山登山道のほうが分かりやすいし、道が硬くて歩きやすい。10分ほど登ると既に冬季の営業休止期間に入った大石茶屋(旧二合目小屋)がある。ここから御殿場口登山道と別れ、いよいよ双子山へ。

少し雲のあった東の空からようやく日が昇る。

まるで火星の大地のような・・・ 双子山下にて

夜明け

 ヘッドライトで足下を照らしながら・・・
 いつものことだが砂の斜面はなんとも歩き辛い

 「双子山」と書かれた大きな看板のあたりからは傾斜はさらにぐっと急になり、足が重くなる

 御殿場口から30分くらい歩いただろうか。昭文社の山の地図でいうところの双子下あたりに到着した。さて夜明けを双子山の山頂で迎えるか、下で迎えるかが考えどころである。といいつつさほど考えることもなく、さっさと荷物を下ろすアタクシであった。

 たいした標高ではないが下界を見下ろす気分はなかなかのものである。御殿場、そして山中湖方面は低く霧が立ちこめてる様子。今ごろ箱根や山中湖パノラマ台や二十曲峠などでは良い雲海が見られているのではなかろうか。

 日の出を撮ってから富士を振返ってみると、富士全体が真赤に染まっている
「おおっ!」
しかしそのスケール感を表現しようとするとどうしても自分の影が入ってしまう。
「入るなら、入れてしまおう自分の影」
ってなことにして、ついでに道標まで入れてパチリとやってみた。

秋らしい雲が発生
直ぐ消えちゃったけど

双子山山頂から箱根方面を望む。
御殿場は雲の下。

双子山山頂から愛鷹山を望む
日本ランドの観覧車がみえる。

双子山

 一仕事終えてから双子山山頂へ。東には箱根が、南には愛鷹山が朝の光に浮かんでいる。御殿場は雲の下だ。

 あっちを撮り、こっちを撮りと、7時半頃まで山頂で遊んでから、双子下に戻り御殿庭方面に向かう。ふたつの塚の間を抜けると斜光に輝く黄葉最盛期の落葉松林がお出迎え。これからいよいよ今回の撮影行目的(一応ね)の核心部に入っていくわけである。

 ここから四辻経由で御殿庭入り口までほぼ平坦な道がつづく。黄葉の落葉松林と草紅葉の草原が広がる気持ちの良い朝のハイキングコースだ。右手前方には宝永山が高い。

 逆光に輝く草原のところどころに。直立したままミイラ化したフジアザミが点在。寝転がりながらその後ろ姿を撮ってみた。

 まだ幼い落葉松も各所に点在。もし富士山がこのままおとなしければ、数十年後にはこの一体も落葉松林になるのだろう。

 

双子山から御殿庭への道
まさに秋色である。

画面右の道のちょうど中間あたりが四辻と呼ばれる場所である。
この草原を抜けると
道は画面上部に見える落葉松林の中へと入ってゆく。。

枯れたフジアザミが晩秋の風情を醸し出す。

草原には小さな落葉松が育ち始めている。
やがては森になるのかもしれない。

双子山を振返る。左か上塚、右が下塚。
草原にはまだ背の低い落葉松が点在する。

四辻から御殿庭入り口へ

 やたらと道標が立ち並ぶ四辻と書かれた地点。今年の初夏に訪れたときには、ここから幕岩方面に下ったのだが、今日はこのまま直進する。

 沢をいくつか渡りながら西へ歩いて行くと、落葉松の林に入る。いったん側火山の山頂らしき地形のところに出る。あとで調べたところでは、ここは地図によっては西二ツ塚とかかれているところのようだ。小高くて展望も良く気持ちの良い場所である。

 すぐ西側の沢の斜面にはおびただしい数の倒木。おそらく96年の台風によるものだろう。

西二ツ塚から倒木の斜面を眺める。

謎の御殿庭

 その沢を越えて森の中に入ると道標があった。右へいくと御殿庭上へ40分(50分だったかも)。左へいくと御殿庭下1km1時間、御殿庭上1.5km1時間10分とある。
 この分岐が御殿庭入口だとすると、昭文社の山の地図によれば、このコースはここから-(20分)-御殿庭下-(50分)-御殿庭中-(10分)-御殿庭上-(30分)-ここ(御殿庭入口)となっている。地図と道標とは全く合わない。道標では御殿庭下から御殿庭上まで距離500mでコースタイムは僅か10分ということになっている-だめだこりゃ。

 今日はこのあたりまでで引き返すつもりでいたのだが、なんとも不思議なので歩いてみることにした。とりあえず謎の多い御殿庭下方面に向かって歩き出す。

 

摩訶不思議な道標
少なくともここは御殿場口じゃないだろうが・・・

御殿庭入口から御殿庭下まではこんな感じの道

倒木が少しあったが概ね歩きやすい良い道である。

御殿庭下で合流する須山口登山道は、
長く廃道同然になっていたようだが、近年地元山岳会などの努力で
整備され、よく利用されているようだ。
一度歩いてみたいと思っている。

 森の中の道。今までの落葉松林とがらりと様相を変え、ここはコメツガ主体の常緑針葉樹林帯である。と思ったらいきなり倒木である。乗り越えるには少々高すぎたので匍匐前進で通り抜ける。
ちくしょうめ・・・
こういうコースではでかいザックの負担は大きい。
また倒木だ・・・あっ、また・・・うげっ・・・
もうあと2回こんなのに出会ったら引き返そう・・・
とそう決めたら、倒木は無くなった(^^;;
まっ、えてしてそういうものだったりする。
 

 御殿庭下で須山口登山道と合流。今日始めてハイカーと出会った。ここらあたりから、落葉松が再登場。しかし落葉松単独の林にはならずコメツガとの混合林を形成している。

 急登が始まる。村山修験者富士山修業場跡なる場所を通り過ぎる。
 
御殿庭中とはどのあたりをいうのだろうか・・・登山道を示す道標は沢山あるのだけれど、その場所の名前が書いてないのでさっぱりわからない。木々の背が高く、目の前にあるはずの富士山も宝永山も見えない。
もう随分登ってきたはずなのだが・・・・

 木々が疎らになりカラマツの間から富士山頂や宝永山が見え出した。そしてついに森林限界に飛び出した

 あ・・あれ?・・・
 
見覚えの有る場所が正面に見える。
富士宮新五合からよく歩いて訪れる「
宝永第2火口の縁(四合目とも)」じゃん。

 どうみてもこの道はそこまで直登している。
御殿庭中はいったいどこへ行ったのだろうか
「四合目=御殿庭中」なのかしら・・・
しかし、あの場所にそんな道標は無かったはず。
そもそも昭文社の山の地図によれば、御殿庭上-第2火口まで40分とある。
 
うーむ、わけわからん・・・

 しかしながら、ここまで来たらそこまで行くより他に無く、ガラガラした歩き辛い道をのろのろと登り始める。
 正面左手に
六合目の雲海荘、そしてその左の富士宮新五合の売店が手の届きそうなところに見える。このあたりはは車で来ることが出来る富士宮新五合より標高が低いのだ。

落葉松林の下にコメツガが育ちつつある。
先駆植物である落葉松の林に
コメツガが入り込んできた図といえよう
(御殿庭中?)

宝永第2火口

 須山登山道としては四合目と呼ぶらしい宝永第2火口の縁に到着。予定より沢山歩いた為に、すでにペットボトルの中のお茶は僅か。ちょうどお昼だし五合目に寄って昼飯でも食っちゃおうかなあ・・・と思ったがそれもかったるい。「これからは下りだからなんとかなるでしょ」と、とりあえずここで大休止することにした。

 さて、地図と現実の差に迫ってみよう。
右は、昭文社「山と高原地図(富士・富士五湖)」の一部である。帰ってから調べたことも含めると、このコースの実体は右図のようであることが判った。青が現在のルート(昔は知らない)であり、御殿庭上の場所も間違っている。
 いや間違っているというのは言いすぎかもしれない。そもそも地名などというものは誰かが気まぐれにつけたもので、人によって認識が違っていることは十分あり得るからである。

昭文社 「山と高原地図」の誤
青い線が登山道だが地図には記載が無い。
御殿庭上の位置も違う・・・(^^;;

宝永第二火口の縁から山頂(左)と宝永山(右)。
中央の凹みが宝永火口。
この画像はデジカメで撮った画像を繋げたもの。

 ここは富士宮口新五合目から簡単に来ることが出来るため、観光客やハイカーが多い。ここからの富士の眺めは、大きく口を開けた宝永火口、そして十二薬師と呼ばれる火口壁が主役となる。爆発の凄まじさ、自然のエネルギーの大きさを実感できるともいえるが、大あくびをした間抜けな富士のようにも見える。

 とりあえずその大きな風景を6×12サイズのパノラマで切り取ることを試みた。ときおり山頂を覆ったり、青空を舞う雲が良い形になるのをずっと待ったのだが、なかなか思い通りにはならない。

 小一時間も居ただろうか・・・結局満足いく状態にはならなかったのだが、とりあえず1本撮り終え(6枚しか撮れないのだけど)て諦めた。

振返って富士を望む。
もう白い雲に山頂が覆われ始めた。

四辻から幕岩への道すがら
霧が一気に斜面を上がってきた。

 12時ちょうどに下山を開始。登りとは異なり、御殿庭入口に直接下るコースをとる。
 砂走り気味に
斜面を駆け下るとやがて落葉松林の中。1m間隔くらいで石に白ペンキ印がある。霧に巻かれたときの目印なのだろう。こちらの道のほうが良く使われているようだ。少し前には子供たちが下っていった。おそらくは富士宮口新五合から御殿場口までというハイキング。これならほとんど下りだから楽勝である。

 やがて混合樹林帯に入り、道はつづら折りとなる。四合目から40分ほどで御殿庭入口(御殿庭上/下の分岐)まで下りてきた。
 ここから四辻までは往路を戻り、そこから
幕岩経由で御殿場口に戻ることにする(四辻まで戻らなくても途中幕岩方面に直接下る道もある)。同じ道ではあるが午前中とは光線が逆となって、落葉松林も草原も朝とは全く違う趣だ

 富士山頂を繰り返し覆っていた雲はいつのまにか居座ってしまったようだ。下からも雲が上がってくる。双子山下経由のほうが幕岩経由よりも短時間で下ることが出来るのだけれど、樹林帯歩きの楽しみは捨てがたい。晩秋の風情の漂う道は1日の山歩きの締めくくりに相応しい。

 富士山は五合目から上が登山対象とされることが多く。二合目から五合目あたりでの地形や植生を楽しみながらの山歩きが紹介されることは少ない。昭文社の山の地図からして本文中に書いた通りの状況で、あまり力が入っていないことの証明であろう。現地で確かめてみると地図に載っていないコースも随分多い。私自信、歩き始めたのは最近。これからもっと色んなコースを歩いてみたいと思っている。

御殿場口から富士を振返る。