ツツジと新緑の三ッ峠

2001.6.2

 

 4月下旬、富士山麓は富士五湖あたり、R139沿いでミツバツツジの花がちょうど見頃となる。満開ゾーンはそれから徐々に標高を上げて、5月下旬に標高1600m前後の御坂山地の稜線あたりに達する。6月2日三ッ峠で花が見頃との情報を得たので出かけてみることにした。

 天気予報によれば今朝は曇りで午後から晴れだそうだ。そんな予報を信じてぐっすり寝てしまっていると、意表をついて極上の朝だったりしてがっくりとしてしまうことも多い。「まあ、たまには頑張ってみるか!」と、夜中の1時過ぎ、睡眠もとらずに家を出た。いまのところ富士山は見えているが雲は多い。

 午前3時・・三ッ峠の登山口に到着。山荘の泊まり客のものだろう、登山口においてある車の台数はかなり多い。僕が支度をしている間にも数台到着。この時間に登りだす輩は間違いなく写真屋さんだ。全くご苦労なこと・・・まあ自分もそうなのだが(^^; 「なんの因果でこんなことをやっているんだろ」と毎度のことながら思う次第だ。

 いつもここに登るときには、登山口―三ッ峠間をピストンするだけで終えてしまうのだが、今日は稜線伝いに清八山まで歩いてみようと計画していたところ。

 ここはかねてから一度歩くべしと決めていて、今年は冬にチャレンジしたのだが積雪が多く、結局御巣鷹山から先の道が不明で断念した経緯のある道。御巣鷹山からの急な下りはきつそうだけどあとは楽な尾根歩き、調が良ければ稜線伝いに本社ヶ丸まで足を伸ばし、さらに余力があれば稜線を御坂峠まで歩いてみようという心づもりだ。

というわけで重荷は禁物、荷物は軽くまとめた。機材は酒井さん(4×5フィールド)にレンズ2本、中判はプラウベルマキナ67、35mmはEOSにズーム2本、マクロ1本、さらにデジカメサイバーショットの計4種。どこか軽装じゃいと突っ込まれそうだが、三脚がカーボン1本だけという軟弱支度なのでやっぱりこれは軽装なのだ。

 積雪無し、軽装だとやはり知らず知らずのうちに歩行スピードが早くなっているようだ。今年の冬に何度か上がったときは確か1時間は要したと思ったのだが、今日は40分と少々で稜線まで出てしまった。

 依然として雲が多く写真的には今一つな空模様だ。いや、写真的にというのは適当でない。「富士山写真的に」と言い直しておこう。富士山にこだわらなければ今日だって撮影日和として十分なのだから。

 しかしながら富士山の方は、もしかしての期待は僅かにあるものの、内心はほとんど諦めモード。夜景を撮るでもなくあたりをやみくもにうろつく。三ッ峠山荘近くの展望スペースにある花付きの良いツツジに、おじさん達はもう群がっていた(右の写真)・・・ってこっちもおじさんだが。

 後ろで「先生」呼ばれている人の話に聞き耳を立ててみると、どうやらこの木がこれほど見事に咲いたのは5年ぶりだそうで、雨が降ったあとに花が開いたからだとかどうだとか、良く聞こえなかったがまあそのようなことを言っていた。うん、まあとにかくまあ例年よりも奇麗なんだそうな!。だがこの天気ではしょうもないだろうなあ・・・。

 ただ、全天候型写真師であるあたくしは、如何なる状況においても、その日ならではの写真を撮ることを心がける(エライ!)。今日という日、今日の条件というのは今日しかない。どんな日であっても今日ならではことが写るはずなのである。

 雲も多いが風も強い・・・これはまた花の撮影には大敵。しかし考え方を変えれば長時間露光や多重露光によって激しく動くその様子だって写真にはなるのだ!。

 風のせいもあって結構寒い!!。写真オヤジに連れられた奥さんが・・・どうみても愛人ではないのできっと奥さんであろう・・・エラク寒がっており、それを見かねたのか、旦那と思われるそのオヤジとは連れではなさそうな別の男性が自分のジャケットをその奥さんに貸していた。なんとまぁ優しい人であることよ。旦那のほうは自分はジャケットを着ているのだから、そんでもって自分の趣味でクソ寒いところに連れてきているのだから、脱いで奥さんに貸せばいいのになあと思ったが....まあいいや。

 さて、三ッ峠山荘から木無山にかけての撮影を一段落させ、三ッ峠の最高点開運山に向かう。ここで御存じない方の為に説明しておくと、三ッ峠というのは木無山、開運山1785m、御巣鷹山1775mの3つのピークからなっている山。開運山と御巣鷹山はしっかりとしたピークで、それぞれの山頂にはアンテナ群がある。木無山は三ッ峠山荘から、天上山、母の白滝分岐あたりまでのダラダラした稜線で、僕は本当はどこが山頂なのか知らないのだが、まあだいたいそのあたりをさしていうようである(いい加減)。
 好撮影地となっている三ッ峠山荘のテラスを抜け、さらに四季楽園という名の山荘の前を通り、開運山への急坂にさしかかる。このあたりもミツバツツジが多い。ツツジに覆われたというとやや大げさだが、なかなか見事である。山頂で楽しむのは展望ののみ。アンテナ群のため圧迫感がありあまり長居したい山頂ではない。 御巣鷹山に方面へ向かうと人影はめっきり少なくなる・・・というかこの時間(6時頃)にはだれも居なかった。「これでようやく山歩きらしくなってきたぞ」と楽しくなる。。前回見つけられなかった御巣鷹山から清八方面への下り口は結局道なりですぐに見つかった。あのときは雪が深くてまったく道が見えず、アンテナの周りを一周して探したのだけれど、実は回り込むことなくアンテナの前の道を真っ直ぐ行けばよかったのだ。さてここから急降下。新緑とツツジを楽しみながら行こう
 久しぶりの急坂歩行に足下がおぼつかない。情けないくらいヨタヨタという歩き方ではあったが、珍しくコケることはなかった。まあ逆に元気なときほどコケるともいえるのだが。林床で見かけた花はヘビイチゴ、キジムジロ、アマドコロ、マイズルソウ、ユキザサ、チゴユリ、ツクバネソウ等々。

御巣鷹山からの急坂。

下りきると一転林の中のノンビリとした道となる。

 喧騒の三ッ峠をあとに実に静かな山歩き。道草、休憩しながらのんびり歩行で2時閑弱、ようやく清八山に到着した。こちらも三ッ峠に負けず劣らずのツツジの山だ。。もちろん山頂からの展望も良い。結局、開運山を出てここまで歩くうちにすれ違ったのは御夫婦1組だけだった。
 ここまで着たらやはり本社ヶ丸にいかずにはおれない。清八山での休憩もそこそこに「きっとあのあたりのピークであろう」と勝手に見通しをたてて歩き始めた。「本社ヶ丸」―なぜ行きたいのかといわれれば・・・名前がおもろいからである。ちなみに読み方「ほんじゃがまる」である。ホンジャマカ?、じゃがまるくん?、何だか良くわからないが、とにかく一風変わった名前で、もしかしたら山頂にはエアーホッケーが備え付けられてあるかもしれない・・・あるわけないじゃん。

 清八山から少し下ったところが清八峠。ここで笹子峠からの登山道が合流。「笹子駅」なんて道標をみると静岡県人のあたくしにとってはいかにも遠くまで来たような感じがする。ここから再び登りが始まる。登山者の姿もちらほら見受けられるようになった。三ッ峠登山口から林道経由で、あるいは笹子から登ってこられた方々である。三ッ峠登山口で三ッ峠に向かう団体登山者のあまりのすざましさに驚愕嫌悪し、急遽こちらに行程を変更したという「あなたは正しい!」的登山者もおられた

 清八山で「あのあたりが本社ヶ丸」と思ったピークは実はまだ一つ手前のピークだった、うぐぐ・・・。しかしここは展望がすこぶる良好で写真撮影には好適である。この展望台には造り岩という名があるらしい。秋などは展望&紅葉で最高だと思われる。小さなピークをいくつか乗り越えようやく本社ヶ丸・・・三の丸、二の丸を越えて本丸・・・という印象である。だから本社ヶ丸なのかしら。山頂には残念ながらホッケーはなく、石塚君も恵くんもいなかった。
 稜線を御坂峠まで歩くのは次回の楽しみとして、今回は林道を下ることにした。林道の様子を見ておくことも今後の計画に必要なことと判断したからである・・・なんちって、かったるくなっただけなんである。というわけですたこらさっさと三ッ峠登山口に戻ってもまだお昼前。夏至も近い、6月の1日はとても長いのであった。