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剱・立山

2000.7.24〜28

 

7月27日

 4日目の朝。今日は立山三山縦走の予定。三山とは別山雄山浄土山の三つであって、今日は浄土山には登らないから正確にいうと二山ということになる。「夜明けのひとときを別山で」という考えはあったわけだが気力が不足。やはり少々遠すぎる。「そういう撮影は別山乗越の御前小屋に泊って今度トライしよう」などと、言い訳のような予定を頭に浮かべながら寝坊する。本当に「写真撮影命」であれば夜中に登りかけるべきなのであろう。

 


昨日とはまた趣の違う雲が発生
雄山(中央やや左)の山頂から放射状に雲が広がっているのを
佐伯有頼が追った白鷹に見立てるのはやや強引か・・雷鳥坂より

 

 かつてフォトジャーナリスト名取洋之助は次のようなことを山の雑誌に書いている。

「(前略)山岳写真家とはいうものの、実はそれ以上に山登りやなのである。だからといって、そういう人たちの撮る記録的な色彩の強い山岳写真が、何の意味もないというわけではないが、山登りを楽しみ、同時に芸術性の高い写真をつくろうとするのは、少々虫がよすぎるのではないだろうか。」(「山と高原」1959年1月号 「つまらない山岳写真」より)

 40年も前の文章であり、当時と今では山も写真も状況は全く違うが、最後の一文は耳に痛い・・・大当たり・・鋭い。でもいいのだ、アマチュアだモーン楽しければいいじゃないの、それが何で悪い!と開き直ろう。



 
コツガザクラ


 昨日より30分ほど早く出発したので、朝焼けのシーンの立山三山の形が少し違う。今日の雲もドラマチックで、ちょうど雄山を中心として鳥が羽を広げたような雲が出現。あれは立山開山の祖、佐伯有頼が追った白鷹だったのかもしれないなどと思う。今日は良い日になりそうな気がする。

←イワギキョウ

 


左隅の山が剱岳、奥に連なるのが後立山連峰でちょうど画面中央が白馬岳である。

 

 別山乗越。昨日より天候はよい。剱御前のほうへ少し登り、シノゴを据えて撮影を2時間ほど楽しんだ。昨日に比べると行程は楽だから時間の余裕は十分だ。
 乗越から30分ほどで別山山頂に到着。山頂の池は残雪の横から少しだけ顔を出している。山頂に居たカメラマン氏から声をかけられる。
「おもしろいですよぉ」
上を見上げると、なんと「暈(かさ)」が出現しているではないか。暈とは巻層雲が太陽や月に掛かったときに、その周囲にみえる色づいた光の輪や弧、あるいは柱のことをいう。
「眩しい太陽の回りの淡い暈」、これがフイルムに写ってくれるかどうか不安だが取り敢えず撮っておく。

 件のカメラマン氏はニコンF5に超音波モータ付きニッコールズームの豪華装備である。
「ほお、よいレンズをお使いですねえ」
とまずはレンズの方を誉めておく。
「いいえ、腕の方がついていかなくて」
などと答えていたが、なかなかの腕の持ち主と見た。


 一方の僕は中古のEOS−1(10年前の機種である)に、普及タイプのEFズームで、かなり見劣りがする。このままでは見下されて悔しいから酒井さん(シノゴのカメラです)を出して剱沢越しの劒岳を一枚・・・って別にそういう意図ではなかったんだけれども。

← ここからの劒岳は剱沢を前景にその全貌をみせている。

 この日は昨日までとはうってかわって、ハッセル(カメラのメーカーの名前です)オヤジ、ジッツォ(三脚のメーカーの名前です)軍団などアマチュアカメラマン諸氏とよくすれ違った。立山三山は3000m級の山ではあるのだが、アプローチの容易さを考えれば、お手軽ハイキングの山であり、いわゆる「登山」から写真に入った人ではない普通の風景カメラマンでも容易にチャレンジできる登山コースなのだ。ほとんど富士山麓での装備と同じような装備で登ってくる。そう、ショルダーのバッグのまま登ってしまう人すらいるのだ。


ヨツバシオガマ咲く斜面

 


雷鳥 砂浴び中

 

 別山からの下りで雷鳥の砂浴びに遭遇。雛を1羽連れた小柄な雌。おそらく雛はもっと沢山生まれているはずだから、すでにほかの雛達は死んでしまったのかもしれない。ザックを置いてレンズを交換。しかしフイルム残量が2枚。EOSー1のけたたましい巻き戻し音にヒヤヒヤしながらフイルム交換。

 彼女は少し警戒する様子を見せながらもその場を動くことはなかった。やがて雛がちょこちょこ歩いて母親から離れ、ハイマツ帯の中に入って見えなくなると、母鳥は心配そうな声をあげながら後を追うようにその薮の中に消えていった。

 10時30分真砂岳、南側のピークではおばさんの大パーティーが休憩中。一生懸命高山植物の写真を撮っている人もいたが、いったい何が咲いていたのだろうか。あの団体の中へそれを確認しにいく勇気は流石に無い。

 富士の折立への急登。ここから稜線の様相は一変し岩陵帯となる。11時25分富士の折立2999mに到着。3000mまであと1m。

 立山最高地点である大汝山3015mへの到着が12時30分。目の前をお父さんにザイルで繋がれ元気に歩く女の子が通った。まだ幼稚園くらいだろう。大人でもふうふういってしまう登りだが、彼女はお父さんに普通に話しかけながら歩いている。
「凄いですねえ」
声をかけると、
「僕がベンチで休憩すると、この子は横のベンチで腕立て伏せを始めるんです」
とお父さん。恐るべき少女だ。末は有名アルピニストかフリークライマーかもしれない。サインでも貰っておけばよかった。
  


末はアルピニストか
フリークライマーか
お父さんと登山中のパワフル少女


雄山山頂 鳥居の奥の絶頂が雄山山頂

 

 神社のある雄山は目と鼻の先。神社へのお参りはパス。山頂一帯は学校登山の団体に征服されていて凄い状態になっている。

 ここまで三脚をザックの上に横に取付けていたのだが、流石に危ないので縦付けに変更、生徒達の間を擦り抜けるように歩いて一ノ越への下り口にたどり着いた。しかし下から続々と上がって来るのでなかなか下りられない。いやいやたいへんだ、久々にこんな混雑する山に来た。

 登りの人を避けながら、そして遅い下りの人を追い越しながら一ノ越まで。人通りが多い道だがゴロゴロした不安定な石が多い歩きにくい道だ。13時15分一ノ越着。
  

 一ノ越からは一転して遊歩道となる。しかし今年の残雪はその遊歩道のかなりの部分をまだ被っていて、慣れない人は歩きにくそうだ、山小屋の方か、国立公園の管理の方だろうか、スコップで雪道を階段状に整地する作業をされていた。観光客も通る道なのでそのくらいの整備が必要なのだろう。

 室堂では自然保護センターに寄った。ここは比較的新しくできた施設で、立山の地形や動植物について展示、解説されている。雷鳥情報等もあるので観光の方は室堂に着いたらまずここに寄ってみるのがよいかもしれない。室堂駅とは別の建物ではあるが廊下で繋がっている。もちろん無料。


雪の残る室堂―一ノ越登山道、右奥は室堂山荘

本日の歩行コース(GPSによる記録)
国土地理院刊行数値地図50nメッシュを使用し数値地図ビューアで描画
GPSが不調で、雄山から先のデータが記録はされているのに取り出せなくなってしまった。

  

  今日は夕焼けは期待薄だ。立山にも雲が掛掛かり始めた。

もう今日は(も?)頑張らない

テントの近くでちょろっと夕焼けを撮り、温泉だ!!


   
雷鳥平キャンプ場にて  右は山崎カール
  

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